映画「春を背負って」は笹本稜平原作の同名小説を実写映画化した、木村大作監督、松山ケンイチ主演の立山連峰・大汝山を舞台にした人間ドラマです。物語もさることながら、立山連峰の美しい景観もかなり見どころ。
ネタバレ
監督は「劒岳 点の記」で第33回アカデミー賞で最優秀監督賞を受賞した木村大作。
では監督のネタバレです。御年75歳の木村監督。「何歳になってもまだできる」「剱岳を超える作品が撮りたい」と引退宣言を撤回してメガホンを取ったそうです。
空撮やCGは一切使わずに、オールロケでの撮影。
また、立山連峰の四季を撮るため撮影は一年間に及んだそうで、木村監督のカメラマンとしての矜持を感じずにはいられません。
キャストは松山ケンイチ、蒼井優、豊川悦司、檀ふみ、小林薫など豪華な面々が揃いました。
松山ケンイチと言えば小雪と結婚した二児の父。イケメンですよねー。
ヒロインを演じる蒼井優さんの性格をネタバレしてしまいますと、彼女の性格はとても明るく、おしゃべり好きの姉御肌、とのこと。演じてる役柄とはイメージが違いますがとってもかわいいですね。
そして「春を背負って」のタイトルバックに使われた印象的な桜は、朝日町船川べりの桜。手つかずの自然のままの桜が使いたい、という監督のこだわりがあったそうです。
ロケ地のネタバレですが、映画の舞台となる山小屋・菫(すみれ)小屋は大汝山の大汝休憩所が使われました。実際は「休憩所」なので寝泊まりはできない場所です。
また、富山県民会館の分館の「豪農の館 山内邸」がロケ地として使われているのもネタバレのひとつ。映画では主人公の母・菫が営む「民宿ながみね」として登場します。
主題歌は山崎まさよしの「心の手紙」です。映画を観て「息子が父に向けて書いた手紙のようになればいい」という願いを込めてこの曲を作ったそうです。
原作では秩父山だった舞台を、360°どこを撮っても絵になるという理由で立山連峰・大汝山に変えています。立山連峰の春夏秋冬を撮影した美しい映像が素晴らしいです。
感想
2014年6月14日全国ロードショーの「春を背負って」に予告動画を見ての感想ですが、まず、立山連峰の四季が美しいですよね。山々の美しさ、雷鳥の羽毛の色の移り変わり、高山植物…、すべてが美しい、という感想を持ちました。
舞台となる菫(すみれ)小屋では自然と向き合う人々の人間ドラマが繰り広げられます。
菫っていうのは、主人公・亨のお母さんの名前なんですよね。父・勇夫は山小屋に母の名前を付けた、というのが何ともドラマチックで、家族の物語でもあるんだなあ。
この「春を背負って」の監督、木村大作さんは、本職はキャメラマンなんですよね。黒澤映画や、吉永小百合主演の「北のカナリアたち」など数々の名作の撮影を行っている方なんです。
あくまで「本物」にこだわった撮影方法は役者泣かせではあるけど、やっぱり素晴らしい、という感想です。
試写会を見た方々の感想を見ても、そこは皆さん絶賛されています。
そんな木村大作監督が撮影したこの「春を背負って」やはりそのカメラワークも見どころの一つだと思います。3000m級の山で、役者、スタッフともにかなり過酷な撮影だったと思います。
やはり、360°美しい立山連峰の四季の移ろいは劇場で観たいなあと言う感想ですね。
そして、この木村監督の映画にかける情熱がすごい。先日富山県庁で行われたトークショーを皮切りに、全国47都道府県縦断キャンペーンをしているとのこと。現在も監督のパワフルな舞台挨拶が続けられています。
あらすじ
映画「春を背負って」のあらすじを簡潔にまとめると、社会の歯車として働く自分に疑問を感じる主人公・亨が父の遺した山小屋を継ぎ、山小屋に関わる人々と触れ合ううちに自分の居場所を見つけ成長していく、というあらすじとなっています。
もうすこし詳しいあらすじはこちら。
幼い頃から立山連峰で暮らしてきた長嶺亨(松山ケンイチ)は山小屋を営む厳格な父親・勇夫(小林薫)に反発し、東京で外資系投資銀行のトレーダーをしていた。
しかし、勇夫が不慮の事故で急逝したという知らせをうけ、立山連峰に戻ることになる。
そこで、気丈に振る舞う母・長嶺菫(檀ふみ)、心に傷を抱える高澤愛(蒼井優)ら父を知る人間と暮らすうち、山小屋・菫小屋を継ぐ決意をする。
慣れない山小屋の運営に悪戦苦闘する亨。そこへ、父の友人を名乗るゴロさん(豊川悦司)が現れる、というあらすじです。
主人公・亨とヒロイン・愛、そして風来坊ゴロさんの三人がそれぞれ自分の居場所を求めて生きて行く姿を自然の厳しさと、美しい風景によって描き出しています。
「人は皆、何かを背負って生きて行くしかない」という木村監督の人生哲学も映画に現れているような映画です。
この映画のタイトル「春を背負って」の意味ですが、これは果たしてどういう意味なのでしょうか。
2012年にラジオドラマにもなった本作、原作本は文庫でも発売されていますので原作を読んであらすじを確認してから映画を楽しむのもいいかもしれませんね。
とにかく、名キャメラマン、木村大作監督の情熱が迸る作品となっています。
予告編動画
評価
- 総合点:70点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト:★★★☆☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★★☆☆☆
作品情報
- 公開日:2014年6月14日
- 上映時間:116分
- ジャンル:人間ドラマ
- 監督:木村大作
- 主演:松山ケンイチ