「思い出のマーニー」は、イギリス児童文学の名作を、スタジオジブリがアニメ化を手掛けた映画です。ジブリ作品初のＷヒロインで、親子で楽しめる映画となってます。豪華声優陣もみどころです。
作品概要
「思い出のマーニー」の概要をネタバレなしで説明します。
原作は、イギリスの作家ジョーン・Ｇ・ロビンソンによる児童文学の古典的名作です。
岩波少年文庫から上下巻が出ているのですが、かなりのボリュームにもかかわらず、内容がとても良いため、つい最後まで読んでしまいます。
そして、ラストシーンにはつい涙してしまうという作品です。
映画では北海道を舞台としているそうですが、原作ではイギリス・ノーフォーク地方が舞台となっており、主人公の名前もアンナです。（読み方は一緒ですね）
アンナがマーニーとの交流を通じて成長していく姿を描いた作品ですが、この「思い出のマーニー」を手掛けた米林宏昌監督は、『杏奈』や『マーニー』のような少女たちのための、彼女達にそっと寄り添う様な映画を作りたい、と語っており、子供の心に響く作品になっているのではないかと思います。
また、声優には、杏奈役には女性５人組ユニット『ｂｕｍｐ.ｙ』の一員でもある高月彩良、マーニー役には「あまちゃん」の天野春子役で話題となった有村架純が起用されています。
この若い女優さん２人を起用したということは、フレッシュさには期待出来るのではないかと思います。
プロの声優さんを起用しないという方針が知られているジブリ作品ですが、この「思い出のマーニー」では、Ｗヒロインの２人以外でも、松嶋菜々子、寺島進、根岸季衣、森山良子、吉行和子、黒木瞳といった豪華キャストを起用しています。また、北海道が舞台という縁で、大泉洋をはじめとする北海道で結成された演劇ユニット『ＴＥＡＭ ＮＡＣＳ』の５人が総出演しています。
感想
「思い出のマーニー」の感想です。
「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」と、どちらかというと大人向けの作品が続いたジブリ作品ですが、この「思い出のマーニー」は、同タイトルのイギリス児童文学作品を原作としており、米林宏昌監督が「借り暮らしのアリエッティ」から４年ぶりに手掛けた作品ということで、子ども向けの良作になるのではないかという感想です。
また、イギリスを舞台とした原作と違い、北海道を舞台としているものの、イメージに合う風景を求めて釧路、根室、厚岸へのロケハンを敢行したそうです。
そのイメージ通りの美しい湿地の風景を、岩井俊二や三谷幸喜、クェンテイン・タランティーノ、チャン・イーモウなど国内外の映画の美術を手掛け、監督たちから絶大な信頼を得ている種田陽平美術監督が手掛けており、とても美しい空間が描かれています。
また、「思い出のマーニー」の主題歌『Ｆｉｎｅ Ｏｎ Ｔｈｅ Ｏｕｔｓｉｄｅ』は、アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活動しているシンガー・ソングライター、プリシラ・アーンの作品です。
この歌は、プリシラが高校生の頃に作った曲で、杏奈と同様に「孤独を感じ、自分の中に愛というものを見いだそうとしていた頃に書いた曲」だそうです。この曲を聞いた米林監督が気に入り、主題歌に即決したそうです。
この歌は、特別協賛企業のアイフルホームのＣＭにも起用されていますが、穏やかな歌声と落ち着いた曲調を合わせて、心にしみいる様な歌になっていると思います。
予告編動画
あらすじ
「思い出のマーニー」のあらすじです。
幼い頃両親を亡くし、養父母と都会で暮らす１２才の少女・杏奈。
周囲に心を閉ざし、無気力な様に見える杏奈でしたが、悪化した喘息の療養のため、養母・頼子の親戚である大岩夫妻が暮らす海辺の村で過ごすことになります。
その療養先の村で、杏奈は村人が『湿っ地屋敷』と呼んでいる、入江に面して立つ古い屋敷を目にします。
その屋敷には長いこと人は住んでいませんでしたが、初めて見るはずのその屋敷のことを、杏奈はなぜか知っている気がして心を惹かれます。
さらに、杏奈はその屋敷の夢をみるようになりますが、その夢には決まって青い窓に閉じ込められた金髪の少女の姿があるのでした。
ある夜、村のお祭りに出かけた杏奈は、地元の中学生ともめ事を起こしてしまいます。
その場から逃げ出した杏奈がふと気が付くと、いつの間にか『湿っ地屋敷』の見える海辺にたどり着いていました。
『私は私が嫌い…』と泣き崩れる杏奈の前に現れたのは、夢の中に現れたあの金髪の少女でした。
マーニーと名乗るその少女とすぐに打ち解け、彼女と過ごす様になる杏奈でしたが、マーニーの悲しみも知ってしまいます。
杏奈はマーニーの恐れを克服させるために、大雨で雷鳴が鳴り響く中、崖の上のサイロへマーニーと共に向かいます。しかし、その時、マーニーは杏奈の前からこつ然と姿を消すのです。
『湿っ地屋敷』の秘密とは、そしてマーニーの正体とはいったい何なのでしょうか。
