何もかもが自分と全く同じ人物が目の前に現れたら―どちらが本物でどちらがコピーなのか、謎が謎を呼ぶストーリーと衝撃のクライマックス。一度見ただけで謎が見抜けるか、究極の心理ミステリーです。
作品概要
「複製された男」の概要をネタバレなしで説明します。
ポルトガル初のノーベル文学賞受賞作家である、ジョゼ・サマーゴの心理ミステリー小説「複製された男」が原作の作品です。
ラストは決して口外しないください、と言う注意書きが公式サイトにあるように、衝撃的な結末が用意された、緻密に計算されたミステリーだということです。
原題は「Enemy」で、これがストーリーを暗示しているのではないかと思います。
監督は「プリナーズ」で話題となったドゥニ・ヴィルヌーブで、カナダとスペインの合作映画となっています。
キャストに関するネタバレですが、アダムとアンソニーの2役をこなしている主演のジェイク・ギレンホール(ジレンホールと書かれることもあります)は、父親は映画監督で母親はプロデューサーであり脚本家、姉も女優のマギー・ギレンホールという映画一家の生まれです。11才の時に「シティ・スリッカーズ」でデビュー以来、「ブロークバック・マウンテン」、「ミッション:8ミニッツ」、「プリナーズ」などの作品で好演、アカデミー賞助演男優賞にノミネート経験もあります。「ピープル」誌の「最も美しい人50人」の1人に選ばれたこともあるほどのイケメンで、ナタリー・ポートマンやキルスティン・ダンストが彼女だと噂された時期もありますが、最近はレイチェル・マクアダムスとの交際に前のめりだというもっぱらの評判です。
また、筋肉質な体型ですが、昨年は役作りのために9Kgも減量し、激ヤセも話題になりました。
感想
「複製された男」の感想です。
ふとしたことから自分と瓜二つの人間と接触することとなった平凡な男。
なぜ自分と全く同じ人間が存在するのか、どちらが本物で、どちらが複製なのか…2人の男は不安にかられ、アイデンティティが揺るがされていくという作品です。
ポルトガル初のノーベル文学賞受賞作家であるジョゼ・サラマーゴのミステリー小説「複製された男」の映画化作品で、昨年のトロント映画祭で初上映された後、カナダのアカデミー賞とも言える『カナダ・スクリーン・アワード』で作品賞をはじめ5つの賞を受賞していることから、かなり期待出来る内容なのではないかと思います。
また、綾辻行人さんや冲方丁さんなど、いろいろなミステリー作家の方々がこの映画に対してコメントを寄せているのですが、こちらでも評判は良いようです。
原作の小説は、現代人の遭遇する不条理さや、アイデンティティの不確かさを寓話的に描いたものだそうなのですが、映画の方は少しテイストが異なるそうです。
謎が謎を呼ぶ物語で、物語中にもいろいろな細かな謎が散りばめられており、何回か見ないと分からないと言う感想が多いです。
また、それらの謎を統合して、真相を明らかにしている様な結末も、『映画史に残る衝撃の結末』と言われるようなオチがついていて、何回見ても解けないような謎の結末だそうです。
しかし、かえって解けない方が魅力的な謎だという面もあり、そこがミステリーファンにはたまらない作品に仕上がっているのではないでしょうか。
予告編動画
あらすじ
「複製された男」のあらすじです。
大学で歴史を教えているアダム・ベル。彼は、何の刺激も無い日々に空虚さを感じていました。
ある日、同僚に薦められた映画のDVDを見ていた彼は、劇中に自分自身に瓜二つの俳優の姿を見つけ、驚きます。
アンソニー・クレアという名前のその俳優のことが気になったアダムは、翌日から、取り憑かれた様に彼の所属事務所を調べて探し出し、気づかれないように監視する様になるのです。
そのうちに、どうしてもアンソニーと話がしたいという気持ちを押さえきれなくなったアダムは、彼に接触し、直接会って話をします。
すると服装こそ違うものの、顔、声、体格はもちろんのこと、生年月日、更には髭の生やし方や、後天的に出来た胸の傷跡までもが同じであることに驚きを通り越し、恐怖します。
妊娠6ヶ月のアンソニーの妻・ヘレンは、ふとしたことから自分の夫と瓜二つのアダムの存在を知り、混乱します。
この混乱の責任を取らせるために、怒りをむき出しにしたアンソニーは、アダムの家に乗込んできます。
そして、彼の恋人メアリーを自分に差し出す様に要求するのです。
アダムは仕方なくその理不尽な要求を受け入れてしまい、アンソニーはアダムに成りすましてメアリーとの時間を過ごします。
そしてアダムは、アンソニーに成りすまし、ヘレンの待つ彼のマンションに向かうのです。
それぞれの恋人と妻を巻き込んだ、この奇妙な入れ替わり生活の果てに、2人は想像を絶する運命をたどることになるのでした。