有岡城から救い出された官兵衛は信長の疑いも無事に晴れ、養生していた。そこへ半兵衛の想いがつまった軍配を渡される。弱りきっていた官兵衛ですが、半兵衛の想いを受け継ぐべく立ち上がります。待っていました!官兵衛復活です!
ネタバレ
軍師官兵衛 23話『半兵衛の遺言』は、官兵衛の苦悩から復活を描いた回です。
ここからネタバレです。有岡城から救い出された官兵衛は、深い眠りに落ちた。官兵衛無事の一報を聞いた黒田家からは喜びが溢れます。それもそのはず。官兵衛が信長を裏切ったと噂が飛び交う中、黒田家の家中たちは惑わされずただただ殿・官兵衛を信じて耐え忍んできたのです。殿が無事との吉報は何にも代え難い喜びだったはず。
数日後、官兵衛の元へ一人の武士が現れます。秀吉です。秀吉は変わり果てた官兵衛を見るなり駆け寄り、すぐさま手を握り感極まって泣き出します。秀吉もまた、官兵衛のことを信じてきたのです。ひとしきり今までのことを話し終えると、秀吉は今から官兵衛を信長に会わせると言い始めます。躊躇する官兵衛を尻目に、秀吉は戸板を用意させ信長にお目通りを願い出ます。
頬から肉が削ぎ落ち、立つこともままならない姿になった官兵衛を見た信長は、官兵衛への疑いを晴らします。信長は松寿丸のことを詫びようと口を開くが、そこへ殺めたはずの松寿丸本人が現れます。秀吉は全て亡き半兵衛の画策だと説明します。それを聞いた信長は「死してなおこの信長を手玉にとるとは…さすが稀代の軍師!」と半兵衛を称え、全てを許します。
その後、官兵衛は妻・光の看病のもと養生するが、土牢に1年もの間幽閉されていた傷はなかなか癒えず、心身ともに立ち直れない状況が続きます。弱音を吐く官兵衛を光は大きな愛で包みます。光がそばに居てくれて本当に良かった。あの官兵衛がこんな風に弱くなってしまったのは見ていてツライですが、光がそばに居れば必ず道は開かれていく、そんな気がします。中谷美紀さんの演技がまた泣けますね。光の胸の内が伝わってくるようです。
一方、村重の妻・だしと荒木一族は斬首の刑の処刑の場にいた。だしが辺りを見渡すと見物人の中には我が子を抱く家中さとの姿が――さとはだしの姿に泣きながらも赤ん坊を抱き上げ、しかとだしに見せると、宜しく頼むぞと言わんばかりに頷きます。間も無く処刑がはじまる――それを察し、一族の女こどもは泣きはじめます。だしは「こわがることはありません、すぐ終わります」と慰め賛美歌を歌います。つられてひとり、またひとりと口ずさみます。だしは十字を切ると、首を落としやすいよう髪を分けます。「殿…」と呟いたその瞬間、役人から太刀が下ろされた。だし、最後まで周りへの愛を捨てず、見苦しい姿も見せず、立派な最後でした。
だしや荒木一族が処刑されたことを知った村重は、「わしは織田には負けぬ…」と呪文のように呟きながらよろめく足で城内を歩き、部屋中を荒らすと外に飛び出し、雨が降り注ぐ中膝から崩れ落ち、泣き叫びます。この後、村重は城を捨て逃亡しました。当初は妻置いて逃げやがって!と村重に憤りを感じていましが、村重も底知れぬ苦悩を感じていたんでしょうね…狂ってしまった村重を見てそんなことを思いました。
本編に戻ります。官兵衛は松寿丸より木箱を渡されます。中には軍配が――半兵衛最後のとき、官兵衛に渡して欲しいと半兵衛より松寿丸が託されたもの。官兵衛の脳裏に在りし日の半兵衛の姿が思い浮かびます。光は「半兵衛殿の想いを受け継ぐことが出来るのは、殿しかおりませぬ」と官兵衛を後押しします。官兵衛は軍配を手に取り立ち上がります。
「光、養生は終わりだ。姫路に戻るぞ」
軍師官兵衛復活です!
今回で印象的なこの”軍配”ですが、どういったものなのでしょう?”軍配”は”軍配団扇(ぐんばいうちわ)”の略で、相撲の行司も使用していますね。武将などが用いた指揮用の道具で、鉄・皮・木などの材料でうちわに形どり、全体に黒漆を塗ったものだそうですが、デザインは様々なようです。今回半兵衛からの形見の軍配団扇は少し赤みがかかった素敵な軍配でしたね。
やっと!官兵衛が復活してくれました。今回は官兵衛の苦悩が伝わってきて、早く元気になって欲しいと願うばかりでした。復活のきっかけが半兵衛からの軍配とは、なんとも清々しい気持ちです。次回から官兵衛が颯爽と軍配を上げるところが見られるでしょうか。来週も楽しみです。