毛利攻めでの加勢を光秀に申し出る官兵衛に、光秀は官兵衛引き抜きを願い出る。黒田家では光に2人目が授かり、松寿丸は元服の歳に―松寿は名を黒田長政に改め、黒田家はより一層栄えていくのです。
ネタバレ
軍師官兵衛 25話『栄華の極み』は、前回に引き続き黒田家の繁栄を描いています。ここからネタバレです。
官兵衛が自ら図面を引いた姫路城がついに完成します。新しく生まれ変わった姫路城を秀吉は中国進攻の本拠地とします。
いよいよ毛利攻め。官兵衛の策により当面は山陰道での戦になった。官兵衛は早速、光秀に援軍を要請するべく近江の坂本城へと向かいます。
光秀を待つ官兵衛のもとに一人の女子が現れます。光秀の娘・倫です。倫は村重嫡男の妻であったが、謀反の際、光秀が有岡城から連れ出したのであった。有岡城の最後を知り、自分だけが救われたことに自責の日々を過ごし、涙を流します。そこへ光秀が現れます。光秀もそんな娘を不憫でならないよう。
次いで村重の話を出します。光秀の話によると村重は安芸の地に落ち着いたよう。さらに光秀は村重の気持ちがわかる、と呟きます。上様が恐ろしいと―。
官兵衛より毛利攻めの策を聞いた光秀は援軍の要請に快諾し、さらに「官兵衛、わしに仕えぬか?」と五万石の領地を渡すことを約束し、官兵衛を引き抜こうとする光秀。しかし官兵衛は、「大きな領地を欲しいと思ったことはありませぬ。何より羽柴様のもとで働くこと以外、考えたことはありませぬ」と断ります。その言葉に光秀はますます官兵衛を気に入り、「何としてもお主のような優れた軍師が欲しい」と高笑いを上げるのでした。
官兵衛すっかり織田家中の中での信頼は揺るがないものとなりましたね。どんなに苦しい状況でも主君を裏切らなかった姿に誰もが感銘を受けたのでしょう。しかし、秀吉と官兵衛の絆は固いものですから、光秀が入る隙は無さそうですね。
播磨に戻った官兵衛は秀吉とともに宇喜多直家を見舞うために岡山城を訪れます。直家は重い病に伏せていたのです。直家は自身がもう長くないことを悟り、秀吉に息子の取り立てを願い出ます。それに二つ返事で秀吉は承諾しますが、直家は口約束では安心出来ない、と妻お鮮を目通りさせます。直家は今すぐにでもお鮮を秀吉の側女として欲しいと言います。その言葉にうろたえてしまう秀吉。直家は言葉を続けようとしますが、咳が止まらなくなり、お鮮の手により布団に寝かせられます。秀吉の後に続き、官兵衛もその場を去ろうとしたとき、直家に呼び止められます。宇喜多家を秀吉に託すのは、秀吉がいずれ天下をとる男だからだと話す直家。官兵衛にもその盛り立てを頼むと、「信長は危うい…」と言葉を残し目を閉じました。
それから間もなく、直家はこの世を去りました。
稀代の悪人とも言われた長家が、最後には家族のことを案ずるのですね。それにしても、秀吉の部屋を後にしたお鮮は意味深な表情を浮かべていましたが、あの表情は何を意味しているのでしょう?
新姫路城が完成し、秀吉一家、官兵衛一家が集います。おねが官兵衛の尽力に感謝すると、そこに松寿丸と光が駆けつけます。「松寿!」おねは駆け寄り、松寿が大きくなったことを目を潤ませて喜びます。おねは、官兵衛が土牢に入れられ、松寿の命も危うくなったとき我が子のように面倒を見てくれたうちの1人でした。そして光との初対面でもあります。光はおねに深々とこの度の感謝を述べると、おねは「離れても松寿は我が子。それでもかまわぬか?」と光に尋ねます。光はそれを喜んで受け入れます。松寿丸はふたりの母に見守られ大きく成長していきます。
翌朝、仲良く歩く官兵衛と光。宇喜多直家の妻お鮮と一夜をともにした秀吉の女好きに呆れる官兵衛と、その愚痴を静かに聞く光。「殿とは大違いですね」と言葉を掛ける光に、官兵衛は「わしはお前が居ればよい」と応えます。それを嬉しそうに聞く光。そして官兵衛に二人目の子が出来たことを伝えます。官兵衛は「でかした!」と大喜び。黒田家家中も奥方のご懐妊に宴のような盛り上がり。
官兵衛は一途なところも魅力的ですねー。光は幸せ者です。子供がひとり増えて黒田家にはこれから一層幸多きものになるのでしょうね。
時は変わって、官兵衛の屋敷―そこでは松寿丸が元服のときを迎えていました。官兵衛の屋敷に家臣が一同に介し、儀式が執り行われます。家臣たちは皆、命を落としかけた松寿を思い返し、目頭を熱くします。光も同じくして、立派になった松寿を見て喜びに涙が溢れます。官兵衛が重々しく口を開きます。
「松寿、おぬしは本日をもって名を長政と改めよ」
「はっ」
「おもてを上げよ、黒田長政」
その顔にはもうあどけなさは残っておらず、凛々しい武士の姿がそこにはありました。
元服後の松寿丸を演じるのは、朝の連ドラでブレイクし、今や人気俳優となった松坂桃李さんです。まさか彼が成長した松寿丸になるとは驚きでした。というのも、あまり時代劇の印象がないからです。実際には中村勘九郎さんと時代劇の舞台をされていたり、『名探偵コナン』のスペシャルドラマで新撰組の沖田総司を演じたことがあるようですね。ただ、大河ドラマは初の出演だそうですよ。松坂さんが出演されるのを心待ちにされていた方も多いのではないでしょうか?これからどんな長政を演じるのか楽しみですね。
松寿の元服のあの姿から黒田家は安泰ですね。松寿も父官兵衛の血を継いでいるわけですから、忠実な意思と明晰な頭脳で世に貢献してくれることでしょう。これから松寿改め長政の活躍に期待ですね。