「マップ・トゥ・ザ・スターズ」あらすじと感想(ネタバレなし)

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鬼才クローネンバーグ監督が描くハリウッドセレブの裏側。ハリウッドでリムジン運転手をしていた脚本家ブルース・ワーグナーの実体験をもとにした壊れゆくセレブ家族の人間ドラマです。

マップ・トゥ・ザ・スターズ

あらすじ

マップ・トゥ・ザ・スターズ」のあらすじです。

鬼才クローネンバーグ監督がハリウッドでリムジン運転手をしていた脚本家ブルース・ワーグナーの実体験をもとに、ハリウッドセレブの実態を描いた人間ドラマ。

ワイス家は人もうらやむハリウッドの典型的セレブ家族です。父ワイスは、テレビ番組を持つセレブ向けのセラピスト、母クリスティーナはステージママで、有名子役でドラッグ問題を乗り越えた息子ベンジーとともに、ベンジーの復帰へ向けた活動を続けていました。

落ち目の有名女優ハバナは、亡き母親による虐待の幻影に悩まされており、ワイスのセラピーを受けていました。ある日、ハバナは知人の紹介で顔や体にヤケドの跡がある少女アガサを個人秘書として雇います。実はアガサは、ある問題により、フロリダの施設に入れられていたワイス家の長女でした。

成人したアガサは、実家のあるハリウッドに戻ってきたのです。アガサはなぜハリウッドに戻ってきたのでしょうか。

富と名声を手に入れ、何不自由ない生活を送っているように見えるワイス家でしたが、次第にワイス家の封印された秘密が明らかになっていきます。そして、一家や周囲の人々の人生が狂い始めていきます…。

作品概要

「マップ・トゥ・ザ・スターズ」の概要をネタバレなしで説明します。

本作の監督は「ザ・フライ」「ヒストリー・オブ・バイオレンス」「イースタン・プロミス」等を手掛けたデヴィッド・クローネンバーグで、カナダを代表する監督です。

近年では「イースタン・プロミス」などヴィゴ・モーテンセンと組んだバイオレンス作品が高い評価を得ています。

本作はそのようなバイオレンス路線ではなく、ある資産家の破滅を描いた、2012年の「コズモポリス」のようなサスペンス路線となっています。本作には「コズモポリス」から引き続き、ロバート・パティンソンとサラ・ガドンが重要な役どころで出演しています。

アガサを演じるのは、ミア・ワシコウスカです。「アリス・イン・ワンダーランド」で主演を務めたほか、2013年には「イノセント・ガーデン」「嗤う分身」とサスペンス作品が続きました。本作でも彼女の存在感が非常に不気味な雰囲気をもたらしています。彼女はサスペンスがとても似合う女優と言えるでしょう。

そのミア・ワシコウスカらをキャストに迎えて、デヴィッド・クローネンバーグはどのようなサスペンス作品を作り上げたのでしょうか。バイオレンス作品のような高評価を得ることができるでしょうか。監督の手腕に期待です。

予告編動画

感想

「マップ・トゥ・ザ・スターズ」の感想です。

本作はハリウッドセレブの裏側を描きます。ウディ・アレン監督でしたら、コメディ・タッチで描くでしょうが、クローネンバーグ監督ですから、そうはいきません。非常に重厚でシリアスなサスペンスが展開していくでしょう。

注目のひとりはハバナを演じたジュリアン・ムーアです。彼女は「ブギー・ナイツ」「めぐりあう時間たち」「エデンより彼方に」などに出演し、アカデミー賞に4度ノミネートされている名優です。本作ではカンヌ国際映画祭女優賞を受賞しています。

そんな彼女の演技は注目せずにはいられません。ハバナは落ち目の女優で、亡き母親の幻影に苦しみ、ボロボロになりながら、もがいて生きています。ボディラインも引き締まっているとは言えず、決してかっこいい役とは言えません。そんな役をサラリと演じられる大女優は、ジュリアン・ムーアしかいないでしょう。

またベンジーを演じたエヴァン・バードです。ベンジーのまだ幼さが残りつつも、ショービジネスの世界に毒されたような表情が非常にいいです。そのような子役の裏側を描くことによって、華やかな世界の裏の非常にグロテスクな現実が浮かび上がっていきます。
エヴァン・バード自身は大丈夫なのかと思わず心配になってしまうような表情です。