「繕い裁つ人」あらすじと感想(ネタバレなし)

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繕い裁つ人の紹介:講談社『ハツキス』連載中の池辺葵の大人気コミックを中谷美紀主演、三島有紀子監督で映画化。頑固で不器用な仕立て屋「南洋裁店」を営む市江と服を通して結び付く人々の心温まる物語。

繕い裁つ人 映画

繕い裁つ人 あらすじ

映画「繕い裁つ人」のあらすじです。

中谷美紀主演、三島有紀子監督で講談社『ハツキス』連載中の池辺葵の同名大人気コミックを映画化。頑固で不器用な仕立て屋「南洋裁店」の女主人と服を通して結び付く人々の心温まる物語です。

神戸の海を見下ろす坂の上にある仕立て屋「南洋裁店」。市江は祖母から洋裁店を引き継ぎ、仕立て屋を営んでいました。

市江が年季の入ったミシンで作る世界に1着しかないオーダーメイド服は大人気です。ただ職人スタイルを貫くため量産ができないという問題もあって、百貨店の営業担当・藤井は市江にブランド化を依頼します。

しかし市江は「着る人の顔が見えない洋服は作れない」と言って頑なに断り、仕立ての仕事を続けます。

市江のもとには祖母の代からの常連が服を直しに集まってきます。市江が直すのはそれぞれの人生がつまった服なのです。市江は、2代目の仕事は1代目の仕事を全うすることだと言います。

しかし、市江には秘めた思いがありました。やがて市江は、人を変える服の力を信じる藤井が言った「単に挑戦することが怖いだけ」という言葉に心を揺さぶられ、自分のオリジナルの「その人の一生に寄り添う一着」を作ることを決意するようになります…。

繕い裁つ人 ネタバレなし作品概要

映画「繕い裁つ人」の概要をネタバレなしで説明します。

本作の監督は「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」などを手掛けた三島有紀子です。小店舗や自営業者など市井の人々を描くのが得意な監督です。これは三島監督がかつてNHKで市井の人々を対象にしたドキュメンタリー作品を手掛けていたことに由来していると思います。

彼女は神戸女学院大学文学部在籍中に自主映画を監督しました。大学卒業後、NHKに入局しましたが、映画を撮りたいという思いが強く独立し、助監督などを務め、監督デビューに至りました。

本作も監督の得意な路線と言えるでしょう。

前二作は北海道を舞台にしていましたが、本作は神戸が舞台です。三島有紀子監督は神戸女学院大学出身ですので、神戸の街をよく知っており、神戸が舞台の作品を監督するのにふさわしいでしょう。ロケは西宮市の洋服店や神戸女学院大学の図書室などで行われています。

洋裁の歴史をひも解いてみると、一般の女性に洋服が普及し始めたのは大正後期でした。昭和に入ると、国民服の制定により、簡易な洋服や和服の改良服が平服となります。

敗戦後、アメリカの占領下で洋服文化はすっかり定着します。アメリカ文化へのあこ
がれや、花嫁修業の一環、女性の生計の道としてなどから洋裁学校が爆発的に生徒数を増やしていきます。

既製服がまだたくさん出回っていない時代は、家事の大切な一部として洋裁があり、またオーダーメイドの洋服店が繁盛していました。しかし、次第に安価で大量生産される既成服が中心となり、オーダーメイドの店は衰退していきました。

本作は主人公の市江が頑固に昔ながらのオーダーメイドにこだわることによって生まれていく物語です。

予告編動画

繕い裁つ人 感想

映画「繕い裁つ人」の感想です。

本作はまさに主演を務める中谷美紀の魅力がつまっている映画だと言えるでしょう。中谷美紀は、「リング」シリーズ、「電車男」、「清須会議」などに出演し、「嫌われ松子の一生」では日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した実力派です。

中谷は、「ものづくり大国日本の誇るべき職人のひとりを演じられることに魅力を感じました」と出演を決意した理由を述べています。

中谷は本作を主演するに当たり、肩までかかる髪をバッサリ切り、ショートヘアで撮影に臨んでいることからも、本作にかける並々ならない意気込みがわかります。

特に中谷美紀が演じる主人公の頑固なところはとても魅力的です。

本作は洋服をテーマにした物語ですので、衣装も注目です。衣装を担当するのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」をはじめ、「舞妓Haaaan!!!」「クローズド・ノート」「空気人形」を手掛けた衣裳デザイナー・伊藤佐智子です。95年の伝統を持つ実際の洋服店での撮影とともに、どのような仕上がりになっているか楽しみです。

また本作の主題歌には、平井堅が2014年5月にリリースした「Ken’s Bar III」に収録されている「切手のないおくりもの」が起用されています。財津和夫の名曲をジャズテイストでカバーしたものです。手作りという感覚にあふれ、映画に非常にマッチしていると思います。