「百円の恋」あらすじと感想(ネタバレなし)

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安藤サクラ主演、第1回「松田優作賞」グランプリ作品を映画化。実家でひきこもりの生活を送っていたアラサーの一子が家を飛び出し、何をやってもうまくいかない中でボクシングによって人生を変えていく物語。

百円の恋

あらすじ

百円の恋」のあらすじです。

2012年、『山口県周南映画祭』で周南出身の松田優作の志を受け継ぐクリエイターを発掘すべく、創設された脚本賞、第1回「松田優作賞」グランプリ作品を映画化。

32歳の一子は実家にひきこもり、自堕落な日々を送っていました。そんなある日、妹の二三子が離婚し、子どもを連れて実家に戻ってきました。だらだら何もしない一子と実家の弁当屋を手伝う二三子は折り合いが悪く、衝突してしまいます。一子はやけになって実家を飛び出し、一人暮らしを始めます。

一子は夜な夜な買い食いしていた100円ショップで深夜勤務の仕事をみつけます。そこは心に問題を抱えた者が集まる場所でした。一子の唯一の楽しみは、帰り道にあるボクシングジムで練習している狩野を覗き見することでした。

ある夜、狩野が100円ショップに客としてやってきたことをきっかけに一子と狩野の距離が縮んでいき、ふたりは一緒に暮らすようになります。

しかし幸せは長くは続きません。狩野との恋はすぐに終わってしまいます。何をやっても上手くいかない日々の中で一子は自らもボクシングを始めます。一子はボクシングにのめり込んでいき、ボクシングがやがて一子の人生を変えていきます…。

作品概要

「百円の恋」の概要をネタバレなしで説明します。

本作の監督は「ボーイ・ミーツ・プサン」「イン・ザ・ヒーロー」などを手掛けた武正晴です。彼は大学で自主映画を製作し、卒業後、数々の有名監督のもとで助監督などを務め、その後、監督デビューしました。

脚本の足立紳は「スクールガール・コンプレックス~放送部篇~」「キャッチボール屋 」などを手掛けています。

本作の脚本の原型は、武監督と足立紳が話し合いながら作られていったといいます。お互い仕事が無く、自分たちで最後にかっこいい女性の映画を撮りたいと思い、企画を立てました。

足立紳はプロの脚本家であるというプライドを投げ捨て、アマチュアに交じって「松田優作賞」に応募し、見事グランプリに選ばれました。この映画にはふたりの映画にかけるハングリーな情熱が吹き込まれていることでしょう。

主演を務めるのは、「愛のむきだし」「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」「かぞくのくに」などに出演した安藤サクラです。彼女は父は監督・俳優の奥田瑛二、姉は監督の安藤桃子と映画一家に生まれた、今、注目の映画女優です。

安藤サクラは中学生時代にボクシングジムに通っていたといいます。ですので、ボクシングにのめり込んでいく本作の一子役はまさに安藤サクラにぴったりな役だと言えます。

予告編動画

感想

「百円の恋」の感想です。

本作はまさに安藤サクラの女優魂が爆発した映画だと言えるでしょう。増量と減量といういわゆるデ・ニーロアプローチを行っており、体を張った演技には心を打たれずにいられません。

ボクシングシーンは俳優のセンスが問われ、一歩間違えると映画が台無しになってしまいますが、ボクシング経験者である安藤サクラの起用は大成功と言えるでしょう。

また狩野役の新井浩文も注目の映画俳優の一人です。出演作は50作品にも及び、日本映画に欠かせない俳優と言っていいでしょう。独自の存在感を持つ俳優で、脇役での出演であっても印象に残る演技を見せてくれます。安藤サクラとは2014年の「春を背負って」で共演しています。

そんな日本映画に欠かせない二人が出演した本作は、日本映画の歴史においても注目の一作となるでしょう。

また本作の主題歌をロックバンド「クリープハイプ」が担当しています。彼らは10年以上インディーズで活動し、2012年メジャーデビューしています。彼らの6枚目のシングルに当たる「百八円の恋」は、彼らの特徴であるハイトーンのボーカルが生かされた楽曲で、映画に非常にマッチしていて、映画を盛り上げるのに一役買っています。