アクト・オブ・キリング ネタバレと感想とあらすじ

全世界50以上の映画賞を受賞したドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』、実際に起こった非人道的な事件を加害者側から撮り、多くの反響を呼んだ作品です。そんな斬新な映画のあらすじ、ネタバレ、感想を書いていきます。

アクト・オブ・キリングの画像

ネタバレ

アクト・オブ・キリング』のネタバレです。
もともとは映画館前でチケットを売りさばくダフ屋だったアンワル・コンゴ。スカルノ政権は観客を多く呼び寄せるアメリカ映画の上映を制限し、彼らの稼ぎは減りました。それが不満となって、軍からの招待を受けたことをきっかけに加害者のリーダー的存在になり、残虐行為を行いました。
ネタバレですが、彼は1000人以上の命を奪い、『アクト・オブ・キリング』撮影中のカメラに向かって、こうしてやったんだなどと針金を用いながら説明します。彼の仲間たちも同様にその非情な行為を自慢話のように赤裸々に語ります。

しかし撮影していくなかでアンワル・コンゴの心情の変化が表れてきます。『アクト・オブ・キリング』を制作しだしてから今まで見ていた悪夢が酷くなったことを打ち明けます。そして村を襲うシーンをエキストラの大人や子供たちと共に撮影しますが、その撮影がとてもリアルで恐怖のあまり子供たちは泣き出してしまいます。
さらには失神してしまう女性も出てきます。そんな現場をみたアンワル・コンゴはこの映画製作を始めたことを後悔していると発言します。

そしてネタバレも終盤です。アンワル・コンゴは捕虜役になり、首を絞められるシーンを撮影しようとしました。しかし彼はそこで自分がしてきたことがどれほどひどいことだったかを理解し、放心状態となってしまいます。そこで撮影は終了。

最後にアンワル・コンゴは被害者から「天国へ送ってくださってありがとうございます」とメダルをもらい、をみんなで手を繋ぎながら歌い、『アクト・オブ・キリング』は幕を閉じます。

感想

感想を正直に述べますと、『アクト・オブ・キリング』は嫌悪感満載の映画です。何しろアンワル・コンゴ含む加害者たちは、被害者たちに行った非情な行動に対して罪の意識が全くなく、さらにそのことを自慢げに話すことができるからです。

殆どの人は人生を生き、色々な経験をしていくことで、倫理観を養います。しかしアンワル・コンゴら加害者が生きたのは人の命を奪うということが善しとされてきた時代のインドネシア。さらに社会的地位の高い軍から支援を受けていたので、一般的な倫理観を得ることができなかったのです。ですから嫌悪感と同時に、同情心も湧いてきます。

『アクト・オブ・キリング』で一番素晴らしいと思ったのは、監督であるジョシュア・オッペンハイマーです。彼はアンワル・コンゴらに演出を持ちかけ、まるで心理的実験かのように撮影を進めていきます。加害者本人に演じさせるというアイディアはとても斬新で、観る者に絶大なインパクトを与えそうな感想を抱きました。

ネタバレになってしまいますが、アンワル・コンゴは映画製作中に自分が行った残虐行為を自ら体験し、ジョシュアにこう問います。「被害者たちは私と同じような恐怖を感じたのか」と。

そしてジョシュアは冷たく答えます。「被害者たちはあなたにこれから殺されることを知っていたので、もっとひどく恐怖を感じていたでしょう」
きっとジョシュアも撮影中、私たちと同じように嫌悪感を抱いていたのでしょう。

『アクト・オブ・キリング』は人々に倫理観や固定観念など色々なことを考えさせられた感想です。そして多くの人々が知らなかったインドネシアで起きた悲劇の歴史を、本当にそこにあった真実を観客に伝えるのです。

あらすじ

『アクト・オブ・キリング』のあらすじです。
1965年にインドネシアで起きた軍事クーデター未遂事件。その後、軍の支援を受けた反共産主義者により、共産主義者の“追放”が行われた。それにより多くの人々の命が奪われた。その数は最大推定300万人ともいわれている。

さらにあらすじは続きます。アメリカの映画監督ジョシュア・オッペンハイマーは、人権団体の依頼により被害者の取材を行っていたが、当局から妨害を受け、被害者と接することが不可能となってしまう。
それをきっかけとして彼は、加害者であるアンワル・コンゴに映画出演依頼を持ちかけた。
アンワル・コンゴは右翼の準軍事的組織『パンチャシラ青年団』の父的な存在であり、過去に1000人以上の命を奪ったことのある“国民的英雄”である。

後半部分のあらすじです。インドネシア国民は未だに彼のことを国を救った“国民的英雄”と崇めている。そのため彼は監督の要望を喜んで引き受け、当時の仲間たちと共に自分らが行ってきた非情な行為を自ら演じることにする。彼らはカメラに向かって自慢げに、過去に行った残虐行為の様子を身振り手振りで再現し、悪びれもなく楽しそうに語る。

しかし、撮影が徐々に進んでいくうちにアンワル・コンゴの心情は次第に変化していく。
果たして、『アクト・オブ・キリング』(殺人の演技)が彼らに与えた影響はどんなものだったのか…。

以上がアクト・オブ・キリングのあらすじです。

評価

  • 総合点:85点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品情報

  • 公開日:2014年4月12日
  • 上映時間:121分
  • ジャンル:ドキュメント
  • 監督:ジョシュア・オッペンハイマー
  • 主演:アンワル・コンゴ

参考記事

アクト・オブ・キリング 吹き替えはある?

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