「毛皮のヴィーナス」あらすじと感想(ネタバレなし)

毛皮のヴィーナスの紹介:鬼才ロマン・ポランスキー監督がアメリカの劇作家デヴィッド・アイヴスの古典的戯曲を映画化。演出家のトマは女優ワンダのオーディションをするうちに次第にワンダの虜になっていく。

毛皮のヴィーナス 映画

毛皮のヴィーナス あらすじ

映画「毛皮のヴィーナス」のあらすじです。

アメリカの劇作家デヴィッド・アイヴスの同名戯曲を鬼才ロマン・ポランスキー監督が映画化。2014年フランスのアカデミー賞に当たるセザール賞に7部門ノミネートし、監督賞を受賞した作品です。

演出家・トマ・ノヴァチェクは、レオポルト・フォン・ザッハー=マゾッホの1870年の小説『毛皮のヴィーナス』を翻案した新作劇の主人公・ワンダ役の女優を探していました。

オーディションを行いましたが、ふさわしい女優は見つからず、劇場を去る準備をしていました。そこへワンダ・ジュルダンという無名の女優がオーディションに遅刻して到着します。

がさつで厚かましいワンダはオーディションをしてほしいと懇願し、トマは押し切られ、渋々彼女の演技を見ることになります。しかし演技を始めてみると、ワンダはセリフを完ぺきに覚えており、役への理解も完ぺきでした。

トマは最初、知性の欠片も感じさせないワンダを見下していましたが、ワンダは抜群の集中力を見せ、圧倒的なパワーと妖艶な魅力で次第にトムを虜とし、やがてふたりの立場は逆転していきます。

オーディションが続く中で、トマは役を飛び超えて、ワンダに支配されることに喜びを見出していくのでした…。

毛皮のヴィーナス ネタバレなし作品概要

映画「毛皮のヴィーナス」の概要をネタバレなしで説明します。

本作の監督は「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」「ゴーストライター」などを手掛けたロマン・ポランスキーです。「戦場のピアニスト」でカンヌ国際映画祭パルムドール及びアカデミー監督賞を受賞しています。

彼は現在81歳ですが、激動の人生を送っています。幼少期にはポーランドでナチスドイツによるユダヤ人迫害に遭って密かに脱出し、ユダヤ人狩りから逃げ回る流浪生活を送りました。母親はアウシュビッツで虐殺されています。

第二次大戦終結後、ポーランドで俳優となり、1962年に監督デビューしました。その後アメリカに移り、女優シャロン・テートと結婚しますが、69年にチャールズ・マンソン率いるカルト教団にテートは身ごもっていた子どもとともに惨殺されてしまします。

1977年には子役モデルへの法定強姦の有罪判決を受け、保釈中にヨーロッパへ逃亡します。
78年にはフランス国籍を取得し、その後フランスで活動を続けています。

自身の作品の主演女優で当時15歳のナスターシャ・キンスキーと交際した後、89年には自身の作品に出演した女優エマニュエル・セニエと結婚します。エマニュエル・セニエは本作のワンダ役を演じています。

このように演出家と女優という関係をロマン・ポランスキーは自身の体験によってよく理解しているわけです。理解しているというか、ロマン・ポランスキーの人生と業深く離れ難く結びついていると言えるかもしれません。

予告編動画

毛皮のヴィーナス 感想

映画「毛皮のヴィーナス」の感想です。

本作はまさにロマン・ポランスキー監督の私生活がオーバーラップする映画だと言えるでしょう。演出家・トマはロマン・ポランスキー自身を反映していると言っていいでしょう。ワンダ役は監督の妻であるエマニュエル・セニエですので、監督との意思疎通は十二分にはかられたと思います。

トマ役はセザール賞主演男優賞を受賞しているマチュー・アマルリックで、彼はカメレオン俳優として名高く、元の奥さんは映画で共演した女優ジャンヌ・バリバールです。彼もまた役と現実が交錯する瞬間を体感した経験を持っているのではないでしょうか。

以上のような監督、役者陣による本作は果してどのような仕上がりになっているでしょうか、非常に楽しみです。

本作は、作家・マゾッホによる自伝的長編小説「毛皮を着たヴィーナス」に着想を得た古典的戯曲を映画化したものです。同小説は奴隷と主人の契約を結ぶ男女を描いたもので、マゾッホの名は“マゾヒズム”の語源となっています。

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